ろばのくつした (いつか晴れた日に)

試写会や劇場、DVDなどで鑑賞した映画の感想などをまとめています。おすすめDVDも紹介しています。

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◆誰も守ってくれない /Nobody to watch over me



2009年1月24日(土)公開 公式HP

監督・脚本 : 君塚良一

出演 : 佐藤浩市/志田未来/松田龍平 他


マスコミ報道の裏で起こっているもうひとつの事件・・・

ハンディカメラを使った、臨場感あふれる「セミドキュメンタリー」撮影という手法で、今の日本で毎日のように起きている事件のテレビには映らない、容疑者の家族側を描くと言う、今までになかった視点の作品です。

そう言われてみれば、今まで加害者家族の視点で描かれた作品は少ないですね。

私がふと思い出すのは、両親を亡くした兄弟の兄が弟の大学進学の資金のために強盗をしようとして誤って殺人を犯してしまった「手紙 (2006)」などが思い出されます。

どれだけ逃げても加害者家族と言うレッテルは追いかけてくる・・・・仕事は追われ、住まいを追われ、子供はいじめに遭い、周囲の冷たい噂や視線に耐え・・・そんな人生の中ですべてを受け入れながら生きていかなければいけない兄弟の絆の再生と生きていく姿を描いていました。



本作では、主人公である事件を起こした少年の妹、船村沙織を護衛する役目を果たそうとする、過去に自分のミスで犯人を追跡中に被害者を出してしまった刑事勝浦卓美の苦悩と交錯させながら、事件の裏側ともいえる現代社会の人間模様を描いた作品となっています。

とりわけインターネット社会となった昨今では、家族を取り巻く近隣社会からの冷たい視線のみならず、全国でニュースで流れるまたは報道以外のインターネットでの口コミによる情報の早さと、やもすれば暴走ともいえる吊るしあげに似た無記名で行われる無責任な糾弾がエスカレートしていく恐怖と脅威はすさまじいものがあります。

日本よりインターネット社会の韓国での、スキャンダルに対するインターネットのつるしあげによって自殺した女優さんの噂などをよく耳にします。

ややもすれば魔女裁判的に集団心理が暴走して、必要以上に人間を追いやってしまう悲しいケースも少なくないですね。

ブログや掲示板という画期的なシステムが出来てから、躍進的に誰でも自分のページを持つことが出来、書き込みで世界中のだれにでも自分の意見を知ってもらえる事が出来るということは、裏を返せば匿名により誰でも根も葉もないまことしやかな噂や中傷を広めることができてしまう、大変画期的な良い面との両刃の剣なのです。

そういった精神的に追い詰められた加害者家族が自殺するなどの2次被害を未然に防止するために、警察が被害者家族を護衛したり、噂のほとぼりが覚めるまでの措置として民生員などの連携で素早く加害者家族である事実からかくまったり、プロバイダーを介してインターネットに介入し悪質な掲示板やブログを削除するといったケースがあるということです。

 

もちろん、加害者当人は別として、なんの罪もない被害者やその家族の立場、家族の中から加害者を出してしまった家族の立場、それを取り囲む社会と取り締まる警察やその家族、メディアでは取り上げられない事件の裏側にあるそれぞれの立場からの苦悩も描かれた作品です。

被害者となった家族の立場、被害者家族でありながらそれに関わりのある刑事への本音と建前の心境など、どの立場に対して共感するかなど、色々な事を感じ取れる作品となっています。

ハンディカメラによるセミドキュメンタリー撮影により、突然あれよあれよと渦の中に巻き込まれる加害者家族の様子、特に報道陣にもみくちゃにされる様子など、一緒に気分が悪くなるような感じさえさせられなどの臨場感があり、リアリティが増す感じがあります。

そして、インターネットの口コミで追い詰められて行くシーンなど大変怖いものを感じました。

しかし、後半からの、人の噂も75日といいますが、次の凶悪事件が起こってあっという間に話題が移って収束していくあたりの描き方にあっさり感が否めなくて、多少物足りなさを残す感じがしました。

加害少年も含めた家族として、これからの長い人生にすべてを受け入れて生きて行かなければならない辛さ等の描き方が弱い感じがして少々残念に思います。


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