ろばのくつした (いつか晴れた日に)

試写会や劇場、DVDなどで鑑賞した映画の感想などをまとめています。おすすめDVDも紹介しています。

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◆私は貝になりたい 75点



2009年11月22日(土)公開 公式HP

監督・脚本 : 福澤克雄

出演 : 中居正広/仲間由紀恵/加藤翼/ 他


「貝になりたい」は1958年にテレビで放送され、評判を呼び、1959年に映画化公開され、その後テレビ、映画ともにリメイクされています。

テレビ版は、ヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞した世界の黒澤監督の「羅生門」で脚本家としてデビューした橋本忍が、TBSの前身であるKRTでテレビムービー「私は貝になりたい(1958)」で脚本を手がけ、TBSとなってからの「私は貝になりたい(1994)」も自身の手で脚本を手がけました。

本作は、橋本忍が、加藤哲太郎の手記「狂える戦犯死刑囚」を元に脚本を手がけて映画監督デビューを果たした「私は貝になりたい(1959)」のリメイク「私は貝になりたい(2008)」を、監督を福澤克雄が担当し、オリジナルにはなかった家族愛を描いた脚本を橋本忍自身で担当しました。

 

テレビドラマの94年版は、

清水豊松役は、所ジョージ
清水房江役は、田中美佐子
清水健一役は、長沼達矢
房江の妹役は、瀬戸朝香
矢野中将役は、津川雅彦

っと、ぐっと最近の知ったお名前の俳優さんたちが名を連ねる中、清水豊松役は、所ジョージ ですよ~。ちょっとイメージ出来なくないですか?逆にどんなんだったか興味が湧き、観てみたくなりました。

そして、1959年のオリジナル映画のクレジットを観ていてまたまたびっくり(笑)

清水豊松役は、フランキー堺
清水房江役は、新珠三千代
清水健一(健坊)役は、菅野彰雄(後の若人あきら、現・我修院達也)

豊松の息子の健坊役は、なんと(笑)我修院達也。子役出身だったのですね!(笑)コメディアンだとばかり思っていました!(笑)

 

ちなみに、去年2007年にも日本テレビで「私は貝になりたい(2007)」が放送されていますが、上記2作品とは内容が違います。主役が「『狂える戦犯死刑囚」の加藤哲太郎になっています。公式HPはこちら。シチュエーションもストーリーもちょっと違っていますね。こちらは加藤の体験をもとにした手記のドラマ化ですので、よりノンフィクションに近いということになるのでしょうかね。

本作「私は貝になりたい (2008)」 の以下の遺書部分と映画のタイトルが加藤哲太郎の「狂える戦犯死刑囚」からの引用があったなどとする複雑ないきさつがあって、裁判沙汰があった末、ストーリーは違いますが、原作者として加藤哲太郎がクレジットされるに至ったということのようです。

 






せめて生まれ代わることが出来るのなら、

いいえ、お父さんは生れ代わっても、もう人間になんかなりたくありません。

人間なんて嫌だ。牛か馬の方がいい。

いや牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる。

どうしても生まれ代わらなければならないのなら、

いっそ深い海の底の貝にでも・・・

そうだ、貝がいい。

貝だったら、深い海の底の岩にへばりついているから、何の心配もありません。

兵隊にとられることもない。

戦争もない。

房江や、健一のことを心配することもない。

どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい・・・







 

 

そして、かな~り前置きが長くなりましたが、仲居君主演の本作は、激やせぶりから映画の撮影中を明かされ、B・C級戦犯で処刑される清水豊松の役を演じると言うことで、私も長い間楽しみにして来た作品です。

アメリカ空軍によるハーグ国際条約に違反した非軍事施設の民家への焼夷弾爆撃や空爆で東京を焦土と化した末、日本陸軍の爆撃でB-29から落下傘で落ち延びたアメリカ兵を処刑した罪で、敗戦後巣鴨プリズンで、A級、B・C級戦犯が絞首刑で処刑されるというストーリー。

っとここまで書くと、同じことを感じた方も多いかと思いますが、今年の3月1日に公開された「明日への遺言(2008)」を思い出しますね。

こちらのほうは、名古屋への無差別爆撃を実行したB29搭乗の米兵を略式裁判で処刑した罪に問われ処刑された東海軍司令官・岡田資中将のお話でした。私のブログでの感想はこちら。

その感想の中で、「通常なら敗戦国としては、これほどまでの公正な裁判は行われることなく戦犯として裁決され処刑されているのが現実。」・・と書きましたが、まさにこの「貝になりたい(2008)」は巣鴨プリズンで行われた、その公正な裁判が行われることなく絞首刑になっていった現実を描いた作品といえると思います。

そもそも戦争ということ自体私利私欲のための大量殺人であって、一方的に仕掛けられて防衛する以外のものは、どっちが正義でどっちが悪か、なんってあり得ないのですし、民主主義もくそもない(・・くそ・・あら、お言葉が悪すぎですわ・・)。それで一方的に裁判にかけらるのは理不尽以外のなにものでもないですよね。

何万人も殺した捕虜たった一人を殺した罪で絞首刑にされるなんって納得いかなさすぎです。

だって、誰だって戦争になんか行きたくないし、誰も殺したくなんかないはずですもの。

尚更、命令とは言え、真上から爆弾を投下して家族や親せきを一瞬にして殺りくして、町を火の海にして焼き尽くしていた実行犯本人達が目の前に降りてきたら、憎くない訳がない・・・・

八つ裂きにしたって到底足りるわけもないのです。

戦争をすると言いだした本人達と、安全なところにぬくぬくとしていてまるで駒を動かすだけのように、上で指揮した双方の当人が戦犯として裁かれるのは当然と思いますが、負けた方だけが戦犯だなんって事自体もおかしな話です。

本来、民主主義だったら、勝った国の戦犯も同じく裁くべきじゃないですか。一番悪いのは人を殺しても自分だけ良い思いをしようとする利己主義の最たる極形が戦争そのものですものね。

そんな事を如実に感じられるのは、負けた国だからこそ・・・なのかもしれません。戦争に限らず、勝ち続けて良い思いをしているうちは、負けたものの痛みは感じにくいものだと思います。

争いによって誰かが得るものがあるとすれば、それは勝った国でも同じことですが、とりわけ負けた側の多くの悲しみや死や犠牲の上に成り立っていることを知るべきです・・・・

人間は愚かだから、喉元過ぎれば熱さを忘れます。だからこそ、そんな事をいつまでも忘れないためにも、悲しみとともに犠牲になって死んでいった人たちの事を知るべきだし、忘れないように繰り返し見なければいけないのかもしれません。

そういう意味でも戦争体験者や家族だけでなく、本作のように国民的アイドル仲居君や好感度の高い仲間さんがキャスティングされる事によって、戦争を知らない世代のより多くの若者達が、この間違ってしまった歴史に触れて二度とこんな間違いを犯してはならないことを体感できる良い機会を与えてくれているという点では、映画という作品の出来いかんを問わず、貢献度が大きい作品と言えるのではないでしょうか。

私は、作品を観ている時にはそれほど泣けなかったのですが、終わった後にエンドロールを眺めながら押し寄せるようなさまざまな理不尽さへの複雑な気持ちがあふれて来て、涙が止まらなくなりました。

是非たくさんの方に観ていただきたいと思います。


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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

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